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夏の前日3 吉田基己

夏の前日(3) (アフタヌーンKC)夏の前日(3) (アフタヌーンKC)
(2012/06/07)
吉田 基已

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goodアフタヌーン連載 吉田基己さん作の夏の前日第三巻です。

美大に通う孤高の学生青木哲生と、画廊の美しい年上の大人の女性晶とのもどかしく、美しく、そしてどうにも落ち着かない物語。

主人公の哲生と晶の関係は傍から見れば随分とただれている。
まるでヒモ。若奥様と学生の不倫にも見えなくは無いが、双方独身なのでそこはちょっと違うか。

どことなく周囲を突き放ち、自らを半ば追い込むように思い悩み絵に向き合おうとする哲生と、そんな彼の横顔を眺めることに惹かれた晶という構図。
一方で晶という大人の女性と触れ、理解者を得たことで揺らぎ始めた哲生と、そんな哲生に気高くいて欲しいと思いつつも、姉さん女房のように世話を焼く晶の関係は凄く微妙なバランスの上に成り立っています。
DSC_0308.jpg


三巻ではそんな哲生が初期の頃から憧れている「はなみ」という女性(話したこともない)に純真な憧れを抱きつつ、絵と「はなみ」と晶の間で右往左往している姿が描かれます。
そして、晶はというと「絵を描くときは晶のことは忘れる」と宣言する哲生に「あたしのことなんて忘れて」と返す。芸術家を支える女の鏡のような姿。
「自分から犬になるなんて許さない」なんていう毅然とした姿にグッときます。
DSC_0309.jpg


そして、絵を描くときだけは話したこともない「はなみ」のことを想う哲生。
同じ男ながら殴りたくなる。
この贅沢者!

そして、そんな「はなみ」とはラスト、思いがけない形で出会うこととなり、哲生は大きく揺さぶられ……
最後、「また夏がくる」の一言が重い。
この作品のタイトル、夏の前日が何を指すのか、なんとなく感じ取れると同時に、一巻の頃から作品の中で一年が過ぎ去り、それぞれの中に芽生えたものの存在と、何かに決着をつけなくてはいけないという雰囲気が強く感じられます。
なんとなく、次巻に大きな波が来そうです。
DSC_0315.jpg



絵はトーンを一切使わない描き込まれた描写で繊細な筆跡、とても儚い印象は作品の内容に合っています。
その一方でキャラの表情に時々凄い力強さを感じ、その時その時の心証を言葉とあわせグッと読み手に押し出してくる。

世界観はなんとなく一昔前の昭和の雰囲気。
主人公の哲生と友人森の学生生活や感覚は確実に現在の若者像ではないですね。
画廊の知的なショートヘアの美女晶が常に和服姿なのも、どこか現実味が無い。

濃厚なベッドシーンがあるので、お子様には見せられない。お子さんをお持ちの皆様はご注意を。
あと、なんとなくすっきりしない粘っこさがある一方で、どろどろの愛憎劇というわけではない、おそらく、純文学志向なのでしょう。
なのでそういう話が好きな人はお薦め。

なお、晶さんがいい女性すぎるので、それだけで読んでいる感じです。
ああいう女性に惚れられてみたいものです。


・・・・・・ああ、自分には無理だなw
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まんがにゅあ

Author:まんがにゅあ
毎日毎月必ず漫画を買ってしまう漫画中毒者。
本屋で何も買わずに出てくると凄まじい敗北感に襲われませんか? 襲われませんか、そうですか(´・ω・`)

特にマイナー路線好き。

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